1668

22歳もしくは23歳前後のルイ14世の肖像画は、1661年にマザラン枢機卿が死去したすぐ後に描かれました。これは王が一人でフランスを統治することを決意した時でもあります。実際、1661年3月10日、マザラン枢機卿が死去して数時間後には王はヴァンセンヌ城に閣議を召集しています。宮廷全体が新しい首相の任命を待ちましたが、若い王は：「予が大臣と国務卿たちをここに集めたのは、今これから予の政務を予自らが執り行うことを伝えるためである。予が求める時に助言をするがよい」と宣言しました。

画家は、建築家ルイ・ル・ヴォーが建設した最初のオランジュリーの上の、王の庭園のあるヴェルサイユ宮殿の南側を描いています。背景の池がスイス人の池となり、さらに奥には1682年にグラン・コマンの建設のために取り壊されるサン＝ジュリアン教会のシルエットが見えます。

これらの建築様式から、この作品が正確に1664年の物であることが分かります。作品の中央のシーンから、馬にまたがった王が命令を下しているような様子が見て取れます。近くの領地の整備を命じているのかもしれません。宮殿の周辺の整備に夢中になった王は数多くいるからです。

若いころからルイ14世は、ルイ13世が整備した様々な王の住居に滞在しました。ルイ14世は1638年にサン＝ジェルマン＝アン＝レイで誕生し、その地で中世の古い城と祖父アンリ4世がテラスの端に建てた新しい城の間を行き来しながら幼少時の大半を過ごしました。サン＝ジェルマン城は高台にあり、近くにはセーヌ川が流れています。そして、ヴェルサイユ宮殿の建設においてルイ14世とその造園家にインスピレーションを与えた噴水の付いた洞窟などのある美しい庭があります。

王が最も頻繁に滞在した場所は、ルーヴル、チュイルリー、ヴァンセンヌ、そしてフォンテーヌブローで、宮廷は狩猟の季節である秋になるとこれらの地に赴くことが通常のことになっていました。また、時にはロワール渓谷のシャンボールに向かうこともありました。

1664年のヴェルサイユの大祝祭。

パリに代わってヴェルサイユは王の祝宴と歓楽の新しい場となりました。居心地は良くなかったもののルイ14世はこの地を気に入り、建築家ルイ・ル・ヴォーに宮殿の整備を、そしてアンドレ・ル・ノートルに庭園の整備を命じました。

ヴェルサイユは1664年5月7日から9日まで、舞台装置家で機械装置家でもあるカルロ・ヴィガラーニの指揮の下「魔法の島の歓楽の祝祭」が開かれました。そこでは、600人以上の招待客の前で、「ムニュ・プレジール」がカルーゼルや祝宴、コメディ・バレエ、バレエ、そしてアリオストの小説のエピソード「狂えるオルランド」をテーマにした美しい花火のために、動き回っていました。王は宮廷人たちを驚かせなければなりませんでしたが、これは特に若い公妾のド・ラ・ヴァリエール嬢のための祝宴だったのです。

噴水機能のもとはルネッサンス期にさかのぼります。1664年の貯水池の建設により、人々は建物の円天井の下でこのような娯楽を楽しむことを考えました。サン＝ジェルマン＝アン＝レイ城にもまた、水圧機能を備えた洞窟が作られており、宮廷は訪れるたびにそれを楽しんでいました。ヴェルサイユ宮殿の洞窟の中では、シャルル・ペローがオウディヴスの変身物語からインスピレーションを得、空を駆け巡った後のアポロンがニンフ、テティスの住居に休みにやってくるというシーンを思い描きました。

ル・ポートルの彫版は、ファサードと内部の姿を忠実に表しています。このモニュメントは、3つのアーチ形で金色に塗られた格子ドアが特徴だと言えるでしょう。これは、マチュラン・ブルトンが太陽の光をあらわしたものです。威厳のある柱が鍾乳石様装飾です。ファサードの隅付には、イルカの上にまたがった小さな妖精が刻まれた4つのトンドが付けられており、これは貯水池を覆うアティックの3つの浅浮彫りのようにジェラール・ファン・オブスタルの物です。ここでは、馬車に乗ったアポロンはトリトンとネレイスに囲まれています。