1855年 – 19世紀
1855 : ヴィクトリア女王の訪問
万国博覧会中の1855年8月に、「フランス人民の皇帝」ナポレオン三世に面会するため、グレートブリテンおよびアイルランド女王ヴィクトリアは夫ザクセン=コーブルク公子アルバートに伴われて、パリを正式訪問します。それは互いの国が共にクリミア戦争に参戦している最中のことでした。フランスと英国の関係は、何世紀にも渡る敵意と衝突を経て、少しずつ通常に戻っていました。それより以前、1840年代にルイ・フィリップは両国の接近に着手していますが、当時友好関係は不意に中断したのでした。
1855年8月18日土曜日に到着した君主はパリで迎えられましたが、彼女の楽しみのため、街から離れたサン・クルーの城館に滞在しました。ヴィクトリアはナポレオン王に大きな不信・警戒心を抱いていましたが、ナポレオン王は女王を魅了することに成功します。そしてヴィクトリアは、100年戦争以降の英国統治君主の中で初めて、パリでの滞在に驚嘆した日記を残すのです。訪問とレセプションが続くプログラムの合間、21日火曜日には城館・庭園・トリアノン城館の訪問、そして25日土曜日には王室滞在最後の夕べのための訪問と、皇帝はヴェルサイユへの2回の訪問を計画します。最後の夕べでは、鏡の間での舞踏会、花壇のイルミネーション、オペラ劇場でのガラディナーが執り行われました。このルイ14世の宮殿での国家レセプションは、豪華さや権力の場としてのヴェルサイユの、在位する政体が何であれ手つかずである威光を示すものでした。